II-6-3. インレットにおける水理と漂砂の相互干渉

 d. 洗掘の問題.


例題II-6-5

問題:
     例題II-6-1に用いられている情報を用いて,提案された水路断面のポテンシャル安定度を求めよ.水路壁は鉛直に立った矢板製なのでその断面は鉛直方向のみ変化することに注意(例題II-6-1では水路の水深3.7m(12.1ft)で幅は180m(590ft),水路断面は666m2).

解:
     水路幅B は一定で水路の水深d が変化すると仮定して,水路断面積ACの変化による潮汐プリズムを再計算する.すると,水路断面積が潮汐プリズムに与える影響を見積もることができ,この結果と表II-6-3 の適切な方程式(両導流堤型の水路である,AC = 7.489 × 10-4 p0.86)とを比較することができる.このことは,ACに対してPの値を水理学的応答計算から得たものと,安定方程式から得た結果の両者を載せた,図II-6-46においてグラフ上で比較できることを意味する.二つの曲線交点の右側の点が安定解である.この点から断面積は1,440m2又は水深8mが得られる.この解は幅180mで水深3.7mの設計水路は侵食が強く不安定となることを示す.

     この事例のように,水力学的応答曲線が安定曲線の上にあるとき,潮汐プリズムは水路の断面に比較して大き過ぎて,安定な水路が発達するまで侵食が生じる.水力学的応答曲線が安定曲線と二点で交わる場合は,下の点が平衡不安定点でその点の周囲からは水路は閉じるか又は上部の安定点まで洗掘する.全ての点において水力学的応答曲線が実質上安定曲線の下にある場合は,安定した水路は発達せず,水路は結局ふさがれる.

     安定的な水路の断面領域は大潮や日周の潮汐プリズムをのぞいて,他のファクター(波候,潮差の月変動,表面出水)に依存する.結果として,表II-6-3で与えられた潮汐プリズム−水路断面の式は安定的な断面積の近似の表示として間に合うのみである.事例で行った解析は設計された水路はより深く侵食されことがしばしば生じる,しかしながら,時間とともに変動するその水深は指示された8mから十分に変化する.

 



図II-6-46. 水力学的応答計算と安定曲線から得たAC (水路断面)に対してP (潮汐プリズム)を描いた図