II-3-6. 波浪変形計算を行うために

 e. 波浪計算モデルの選択.

表II-3-2に,ここで紹介した各解析手法の適用性を説明する.これは,考え得る全ての場合を説明するものではない.熟達していれば,モデルの適用限界を超えて計算を行うこともできる.ただし,結果を充分に吟味し,適用範囲を超えた使用に際しては慎重になる必要がある.時間変動モデルの適用を必要とする複雑な状況の予測については,専門家の助言を得ることが望ましい.次節 f に示すいくつかの複雑な状況の予測については,水理実験の実施が必要になる.

 

II-3-2
波浪モデルの選択ガイダンス

Case

II-3-6あるいはACES

NMLONG

RCPWAVE

REFDIF1

STWAVE

一様勾配地形
(浅瀬などがない)

著しく複雑な地形

うねり,構造物なし

×

×

うねり,構造物あり

×

×

×

複雑な多方向不規則波
狭帯域スペクトル

×

×

×

高波浪あるいは広帯域スペクトル

×

×

×

×

複雑な地形,構造物近傍での高解像計算

うねり

×

×

×

×

 

 f. キャリブレーションと検証.

計算結果を得た後に,可能であれば観測結果との比較を行う.観測結果が入手できない場合には,航空写真を用い,計算された波浪パターンの検証を行うことが可能である.もしも,波浪データが入手できない場合には,様々な波高,周期,波向について計算を行い,誤計算,不安定な結果などが含まれていないことを確認する.もしも,入力条件のわずかな変更により計算結果が大きく異なる場合には,計算手法を慎重に検討する必要がある.地形が複雑な場合,複数の構造物,リーフの存在,流れの効果が重要になる場合などは実験を行う必要もある.